電子メール登場の衝撃
ここでも更に時代を遡り、電子メール以前の文章瞬時伝達ツールである、ファクシミリ登場を思い返すところから、お話をスタートさせていただきます。
ファクシミリが世間一般に普及したのは1980年代で、最初はコンピューター同様、業務用精密機械の立ち位置でした。
洗濯機かコピー機程の大型のボディで、1通送信するのにカップ麺が出来上がってしまう程に遅い通信速度をご記憶の方々は、それなりの年齢を数えておられる事でしょう。
その後家庭用電話機にもその機能が搭載され、机上設置が可能なダウンサイズ化が叶いましたが、それでも当時の市場販売価格は、昨今のノートパソコンに匹敵あるいはそれ以上でした。
それでも速達でも翌日到着、即日配達の電報では文字数等が著しく制限される当時の通信環境の中、自らが綴った文字がそのまま先方に届くファクシミリは、極めて画期的な最新鋭機器でした。
更には真っ黒になって殆ど認識不可のレベルながらも、写真も一応送信可能であり、私達が「視覚的に確認可能なコミュニケーション」の可能性は飛躍的に進歩した事実は否定出来ません。
そんな折の電子メールの登場は、今度こそ間違いなく、リアルタイムの二次元通信の最高峰到達点を確信させる、そんな驚きに満ちていました。
ワープロで綴った文章がクリック1回で瞬時に送信出来るのみならず、電子処理された画像やデータなども添付送信が可能であり、郵便物のように1度の送信に於ける容量の制限もありません。
確実に瞬時の確認を相手に求めるのであれば、電話連絡から即送信でリアルタイムのやりとりが叶い、電子メールの登場は何よりビジネスに於けるコミュニケーションスタイルを根底から覆しました。
インターネット独自のシステム
但し電話やファクシミリとインターネットでは、決定的に大きな違いが存在しています。
これらはあくまでリアルタイムで相手と繋がり、その場で会話する事で相互通信が叶います。
相手の留守録機能にメッセージを残す場合も、送信者側が届けた音声データや相手の電話機に到達していますし、ファクシミリは相手が受信可能な受入態勢でなかればなりません。
ですがインターネットの場合、相互通信されたデータは一旦、サーバーと称される送受信される膨大な情報が経由する「中間地点」に一旦ストックされる流れを辿ります。
例えばAさんがBさんに何らかの添付画像付きのメールを1通送信したと仮定しましょう。
Aさんから送信されたデータは、所定のサーバーに到達しますが、この時点Bさんがパソコンを立ち上げず、また新規到着データの有無を確認する作業を行っていなければ、データはBさんの手元には届いていません。
Bさんが新着チェックに該当する所定の作業を手元の通信機能を備えたパソコンに施し、サーバーのデータがBさんの手元に転送完了した時点で、初めてAさんとBさんのコミュニケーションが叶う、そんなシステムなのです。
日常インターネットを駆使する上で、こうした双方の「違い」を常に意識する必要は正直ありません。
ですがこうしたメールならではの突出したメリットをその仕組みから知っておく事が、将来的に間違いなく更なる発達を見せるであろう、このコミュニケーションツールの更なる有効活用に繋がるであろうl事、間違いありません。